6種類のモチベーションと生産性の相関関係

 モチベーションに関してはさまざまな研究がなされている。いろんな学者がいろんな説を唱えるため、なかなか合意点を形成するまでには至ることはできていない。ただ、少なくともモチベーションには種類があるようだというところまでは意見が一致しているのは確かだ。今回は、数あるモチベーション理論の中でも「自己決定理論」を使って、各種モチベーションと生産性等の相関関係を分析したメタアナリシスをまとめた。


まずはこちらの表から。

 これは、各種モチベーションと生産性の相関関係、燃え尽き症候群などのネガティブな相関関係を一枚の表にまとめられている。濃い線が望ましい項目で、薄い線が望ましくない項目を表してある。詳しい解説は後述する。


次に「自己決定論」でモチベーションの種類を表でまとめた。次の通りである。





  1. Amotivation; 動機なし:全くモチベーションがない状態。

  2. External; 外部化:罰や褒美によるモチベーション。

  3. Introjected; 取り入れ:羞恥心、世間体を守ることからくるモチベーション

  4. Identified; 同一化:情報提供により、理性的に理解した上での合理的な判断からくるモチベーション

  5. Intergrated; 統合的:自分の長期的な目標や将来像に合致した判断からくるモチベーション

  6. Intrinsic; 内発的:ただただ好きで、延々とやり続けられるようなモチベーション

 1番目のAmotivationが最もモチベーションが低く、6番目のIntrinsicが最もモチベーションが高い状態とされている。


 次に、各モチベーションをどのような項目と照らし合わせたかというと以下の通り。


望ましい項目群

  • 感情的コミットメント(やりたいという欲求)

  • 規範的コミットメント(義務であるという目的意識)

  • ワークエンゲージメント

  • 仕事満足度

  • 職務外利他行動

  • パフォーマンス

  • 自主性


望ましいくない項目群

  • 継続的コミットメント(離職したら社会的地位と給料を失うから離れられないという不安)

  • 欠勤

  • 燃え尽き症候群

  • ストレス

  • 離職意向

それぞれ数万人規模のデータを集め、細かく比較検証した訳である。どんな興味深い発見があったのかというと、以下の通り。

  • モチベーションのレベルがポジティブに変化するほど、生産性は高まり燃え尽き症候群になりにくかった。また利他行動は増え、ストレス耐性は高まり、離職意向は減った。モチベーションレベルが上がれば上がるほどポジティブな側面は伸び、ネガティブな側面が減ることが統計的に証明された。

  • 4番目のIdentifiedレベルのモチベーションがさまざまな面において、最も望ましいとされる6番目のIntrinsicレベルに匹敵しているため、情報提供や情報共有がいかに重要かがよく分かった。理想はintrinsic(内発的)を目指したいが、難しい場合は最低でもidentified(同一化)を狙った組織作りが大切。

モチベーションの表と相関関係の表を重ねると、右に進むほど望ましい項目は上がり、望ましく無い傾向は下がっているのが分かる。




続いてこちらの表を紹介する。


これはより詳細に決定係数を求めた表である。つまり、どのタイプのモチベーションがどの項目とより密接に関わっているかを数値化したのである。ここからどんな興味深い発見があったかを以下にまとめる。

  • intrinsicのモチベーションが、各種項目の説明力が高く46.23%だった。次いで高いのがidentifiedの22.67%だった。

  • やはり、Intrinsicが圧倒的にあらゆる項目に対して重みづけが大きい。どの項目を見ても50%前後となっている。唯一、1.88%となっているのはContinuance commitmentだった。これは「ここに居続けなければ居場所がなくなる、他に行けるとこは無いので私にはここしか居場所がない」というネガティブな所属欲求である。逆に、罰と褒美によってモチベーションを維持しているExternalは76.78%とずば抜けて高い。これは給料や社会的地位を失うことへの影響の大きさを高く評価していることを示唆する。

  • IntrojectedとIntrinsicはどちらも利他行動や規範行動が目立ったが、一方は「嫌われ不安」からくる行動原理であり、他方は「好きだから」やっているの違いがあることからか、ストレス耐性や仕事満足度には大きな差が見受けられた。

  • パフォーマンスだけを取り上げると、実はintrinsic(23.65)よりもidentified(35.3)の方が高い。従業員の指揮を高めたい場合は、intrinsic か 少なくとも identifiedを目指した方が良いと言える。



Q1 モチベーションには大きく分けると、内発的な動機付けと外発的な動機付けが存在する。「自己決定理論」に基づいた場合、外発的動機には何種類存在する? 選択肢の中から一つ選びなさい。


【2種類 4種類 8種類】



Q2 生産性だけに着目した場合、トップに来たのは内発的動機付けではなかった。ではトップだったモチベーションはどれか?


Q3 社会的地位や給料を失うことを恐れやすいモチベーションはどれか?


Q4 a) 嫌われ不安からくる八方美人と、b) ただ好きで利他的な行動をとっている人、とでは行動だけ見てみるとよく似ている。しかしそのモチベーションには違いがあり、ストレス耐性にも大きな差がある。それぞれどのモチベーション由来か特定せよ。

a)

b)


Q5 どのような家庭環境や親からの声かけで将来子供は「取り入れ」型のモチベーションに固定しやすいか。またそれを予防するにはどのような声掛けが望ましいか、意見を整えた上でディスカッションせよ。



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ソース:Beyond intrinsic and extrinsic motivation: A meta-analysis on self-determination theory’s multidimensional conceptualization of work motivation

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