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脳科学業績コンサルタントが集団的知性のフレームワークと効果についてここだけで特別に解説!

更新日:2023年3月13日

 問題の解決を目的に多様な人々が意見を交換し、解決策を見つけることを「集合知」あるいは「集団的知性」と呼ぶことがある。2019年に出版されたメタアナリシスによると、集団的知性を活用することによるメリットと効果は次の通りだ。





以下は表の解説。

  1. アイデアを出す (未知の課題の解決の糸口を探ること)

  2. 利害不一致の解消 (お互いのニーズが犠牲にならない方法を探る)

  3. タスクの実行 (能力を発揮して目的を実行すること)

 大規模なデータを集め、それらに統計処理を加えたところ、この上記三つはそれぞれ独立した因子であることを突き止めた。


一方で

  1. 答えが決まっている問題を解決する

  2. 答えのない問題に答えを出す

 上記二つとの関連性は小さく、因子として独立もできず、他の因子に含めることも出来なかった。


 すでに答えが決まっていている問題に対して、集合知は弱いのかもしれない。たとえば、「1gのアルミをエネルギーに変換した際の熱量を計算しろ」と言われても、相対性理論を聞いたことがない人たちでいくら集合知を活用しようが、10年考えても分からないものは分からない。逆に一人でも「E=mc^2」を知っている人がいれば、その人が勝手に解決すれば良い訳だ。

 また、答えが決まっていない倫理的な問題や価値観に関する問題の場合は集合知はあまり得意ではないのかもしれない。せいぜい価値観の違いの相互理解や両論併記を目指せれば良いと言うところだろう。


 また、c(集合知)はg(個人知能)を上回るという主張が一般的であるが、個人のIQと集団のIQを比較検討したデータが少ないためこの分野での研究は不十分であり、落ち着くまで後5~10年はかかるだろう。その代わり、集合知が与える効果量に関しては2021年に出版された論文では次のようにまとめられている。

  • 集団の集団的知性 (c)とグループパフォーマンスの相関関係 r=0.26 [95% 0.10; 0.40] 中程度

  • 集団の平均IQ (g)とグループパフォーマンスの相関関係 r = 0.06 [95% CI -.08, 0.20] ほぼ無

 これはかなり興味深い発見である。グループの平均IQ(個人知能)が高いことよりも、集団的知性が高いことの方がパフォーマンスの発揮に優れていることを数字で表すことができたと言うことだ。

 つまり、協働出来ないバラバラの天才集団よりも、協働できている凡人の集まりの方がパフォーマンスが高いことを示唆している。まさに「三人よらば文殊の知恵」と言う諺を裏付ける結果となっている。もし、あなたのライバルが優秀で一人起業に成功しているのであれば、あなた自身は仲間を見つけて集団的知性で立ち向かえば良いと言うことになる。


 ただ、この分野はまだまだデータの蓄積が十分ではなく、ばらつきも非常に大きかったこともあり、さらなる追加検証や再現実験が必要であることも念頭に置いておこう。Fail-safe N(結果を覆すのに必要な論文の数)は100を下回っていたので、少々心許無い印象は残る。


 では、それほど集合知が素晴らしいのであれば、どのように集団的知性を活用すれば良いのか気になる。世界中でさまざまなフレームワークが開発されており、それぞれが独自の専門用語と定義で論文にしているためこれらは全くと言っていいほど情報の共有や統一がされていない。その論文数は、2000年から出版されたものだけに限定しても9500本近くも存在している。

 一つひとつ読み込んで、自分の中に落とし込んでパターンを探すのもなかなか骨が折れる。それだったら妥協案として、一つか二つだけ読んでとりあえずそのフレームワークだけ試すと言うのも一つの手だろう。しないよりはよほどマシなのは間違いない。


 はぁ、誰かこの情報の荒波を制して集合知のフレームワークと定義を統一してくれる恐ろしく手間のかかる作業をやるだけの猛者はいないのだろうか・・・


 そんな無茶を叶えてくれた、夢のような論文が2020年に出版された。内容としては、世界中の集合知のフレームワークを一通り精査し、共通点を見出し、これ以上還元できないレベルにまで定義を24項目に細分化した。これほどの手間を代わりに誰かがやってくれたのは非常にありがたい。と言うことで、カテゴリーと定義を一枚の表にまとめたのがこちらだ。



 一枚目の表では、集合知が得意なことを三つ紹介した。こちらの表では、集合知に関する各種フレームワークを分解し、再統合した。たまたまなのか、こちらも三つのカテゴリーに分けられている。


この表を一枚目の表と見比べると、次のような対応関係が見えてくる。



因子分析から得られた知見とフレームワーク再統合の知見を組み合わせただけだが、「集合知」と言う得体のしれなかったものがとても透き通った知識体系となった。これにより、自分達のプロセスの明確化と言語化が捗ることを期待できるだろう。



Q1 二択問題:「集合的知性」と「集団の平均IQ」は同一のものか?  はい いいえ


Q2 「集合的知性」と「集団の平均IQ」、高めやすいのはどちらか?理由も併せて答えよ。


Q3 「集合的知性」が得意とするのは次のうちどれか?選択肢の中から選べ (複数回答可能)

【 アイデアを出し合う / 人生の意味を考える / 目標設定 / 名画の評価 】



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